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吹田ジュニアオケブログ

2020.10.31

10月の練習とHalloweenと・・・

 10月は18日(日)が金関先生のご指導、31日(土)が井野邉先生のご指導でした。先生方もコロナ後演奏活動が徐々に再開し、子どもたちも秋の行事などが復活、みんな少しずつ忙しくなってきました。
 今回も9月に引き続いてチェロ奏者をお呼びし、子どもたちの演奏をしっかりと支えていただきました。
 18日は木村政雄さん!大ベテランの木村さんはご自身も「音登夢」という音楽集団を作られ、子どもたちとミュージカルを作ったりアンサンブルを組んだり活動は多岐に渡られますので、吹田ジュニアにもすぐに溶け込まれます。休憩時間に、金関先生が次週に迫るコンサートの楽曲J.シュトラウスⅡ「こうもり」序曲の練習を始めたら、すぐに反応して粋なセッションが始まり、場内には素敵なウィンナワルツが響きました。プチ贅沢な気分…♬楽器を持っている、楽器を奏でられると、言葉を介さずともこんなふうに普通の空間が魔法をかけたように一瞬でキラキラと変化します。とても素敵なことですね。
 31日は木村さんからご紹介いただいた福田奈央子さんにお越しいただきました。9月の竹中さんの時もそうでしたが、お姉さん的な方が来てくださると雰囲気が和らぎます。子どもたちのペースに合わせて笑顔で一所懸命に何度も弾いてくださる様子は、とても感じがよく嬉しい気分になります。
 疲れはあっても煮詰まることなく、それぞれが融和的な雰囲気を醸し出す吹田ジュニアは居心地が良く平和です。

リズム感とスキーマ

 今回は少し難しいことを書いてみようと思います。
 幼い頃、家にクラシックのレコードが数枚あり、ある日更に名曲選100枚シリーズといった世界のオケや奏者の名演を一堂に集めたレコードを親が購入し、時折その中から自分の気に入った楽曲を覚えるぐらいしつこく聴いて過ごしました。子どもの頃、あるいは学生時代に何度かクラシックコンサートに足を運んだことがありました。が、行くたびに感じる多少の違和感…メロディーの歌い方が自分が聴いているレコードと違う…どうして?と。
 この数カ月、特に「音楽の在り方」「良い音楽とは?」など容易に答えの出ない問いをずっと考え続けていますが、一般的に「良い音楽」と感じる重要なファクターの一つに、その音楽が持つ「リズム感」があると思います。
 金関先生が以前「音楽は言語リズムと密接な関係がある」と仰いとても腑に落ちたのですが、私たち日本語を母語とする人間が西洋音楽を奏でようとすると、リズム感の壁に必ずぶつかります。
 少し地域限定の極端な例を挙げると
標準語の「なにをやっているんだ!おい」は、大阪弁では「なにやってんねん、こらっ(巻き舌)」で「や」に強拍がきて、場合によっては「なにやってこらっ」だけでも伝わるという…(笑!もちろん吹田ジュニアではそんな言葉は使いません)。それどころか「なにやっとんねん」の「て」を「と」に置き換えた場合、音程の違いに加え、若干「時制」の違いも感じられます。このように国内ですら地域によって差があり、私たち日本人が外国のネイティブと同じようにその国の言語の発音の仕方やアクセント、ニュアンスの違いを身に付けるのは至難の業です。
 普段CDなどでヨーロッパの演奏を聴いていざ楽譜を見るとその情報量のあまりにも少ないことに愕然としますが、先に述べたアーティキュレーション(強弱やスラー、レガート、スタッカート、滑舌など旋律の歌い方)やそこから伝わるニュアンスの違いなどは音符や記号、音楽用語で説明するには限界があり、楽譜をそのまま見ただけでは到底身に付けられません。
 金関先生がジュリアード音楽院でJ.フックス先生というユダヤ人の師匠から徹底的に教え込まれたのが、まさにこのこと。発音やアクセントだけでなく間合いや謡い、それら全てを口伝で教えられ、そこで求められる“真髄”をきちんと表現できなければ何度も修正させられたそうで、金関先生はその真髄のことを音楽の魂(エスプリ)と呼んでおられます。
 「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんなぁ」は親しい間柄のグリーティングであって直訳したらとんでもないことになりますね。その会話に含まれる文化や言葉のリズム、エッセンスを正しく理解してこそ真意が伝わる…楽譜と演奏行為の関係もこれに近いものと思われます。
 では、どうやって身に付けたらいいのか…ヨーロッパの名演とされる録音を何度か聴いて、自分でメロディーを歌ってみて、耳に自然と覚えこませる。少しohren spitzen(注意深く耳を傾ける)ことによって脳の中で“スキーマ”と呼ばれる無意識的知識の枠組みが形成されます。スキーマに従ってリズム感や強弱などが脳内でパターン化されて認知でき、次に同じようなリズムや拍が来た時に脳内で正しく処理できるようになります。阪先生は吹田ジュニアが始まった時からずっと「歌ってみるといいよね」と言い続けておられますが、メロディーを自分で歌ってみることが一番有効かもしれません。
※スキーマとは知識を体制化する枠組みのことで認知心理学の用語、音楽では調性スキーマやリズムスキーマなどがあります。
 さて、10/31の練習では指導担当でない金関先生が来られたかと思えばしばらくしていなくなりました。この日はHalloween!ハロウィンの文化の紹介をして、子どもたちみんなで5回「Trick or treat」と言ったら、ひぃー!怖い!頑張っているみんなにお菓子のプレゼントがありました。

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